冬木枯らしが吹く日に、裕治と茜が引越して来るところから物語りが始まる。
隣近所には、何故か普通じゃない人たちが住んでいた。まるでままごとみたいな夫婦(?)、三人姉妹、彼女たちの一人をお嫁さんにするんだと言う良太。奥さんが働き、主夫している夫、そして屋台のおでん屋をしている二人。さらに登校拒否の少年と彼に密かな恋をしている少女。そして三人姉妹の長女秋子を愛する林太郎――。春の町にも冬、春そして夏が訪れる。
林太郎は秋子を愛している。茜は林太郎に恋をする。秋子は裕治を愛してしまう――物語は奇妙な四角関係をかたちづくり、悲しい結末に向かってすすんでいくのだった。
愛することは簡単なのに愛されることは難しい。人は人を愛し、愛されるために生まれてきたはずなのに、愛そうとして愛せなく、傷つきながらそれでも愛を求めている――。 |