都会から遠く離れた山奥に、奇妙な家族が暮らしていた。彼らはそれぞれを「お父さん」「お母さん」などと呼び合ってはいるものの実は血は繋がっているわけではないのだ。両親が離婚したり、自閉症に苦しんだりしている子供や、失業して妻に捨てられるように家を出たサラリーマンなどが、彼らの空想の中で描く、理想的な家族をつくろうとしているのだった。
「一家」は自給自足を目標にして農作物を作ってはいるものの、貯金も底をつき、彼らの家計は大赤字で、結局街へ出てアルバイトをしなければならないほど、追い詰められていた。
或る日、一人の男が「家族」の一員になるべくふらりと現れたことから物語は急展開していく。
その男は大道芸をしてお金を稼ぐことを提案し、彼らを特訓したあと街へ出て行く。やがて彼らは劇場にも進出し新しいスタイルのボードビル(バラエティー)で次第に人気グループになっていくのだった。そのことによって、次第に彼らの間に微妙な亀裂が生じていくのだが、男が「長女」に恋をして、結婚を望むようになり「一家」が崩壊の危機に陥るのだった。ほんとうの家族が出来ることは彼らにとっては許しがたい裏切りだったからだ。そして、この家族は・・・・・。 |