とある街のガレージを改装した劇団の事務所兼稽古場に、名もなく貧しい劇団があった。そこに住む演出家の片倉滉一、ただ一人のスタッフの美ゆき、他は役者たちだけという小さな劇団である。劇団の経済状況は深刻で、ガレージの家賃も払えない。
さちこが経営する事務所の近くのコーヒーショップ「ブロードウエイ」は、劇団員たちの溜まり場である。店の電話ボックスで真也がテレビドラマに出演したいとプロデューサーに必死に売り込んでいる。彼とつきあっているちひろは、そんな彼にひそかな不安を抱かずにいられない。もし、スタアになったら私は・・・・、と。
ガレージの側には大きな劇場がある。劇団では、アパートで飼うことを禁じられた君平の犬を静一の頼みでガレ―ジにひきとることになったり恋人に捨てられた日が誕生日というみずえの哀しみのバースディ、劇場より他の場所に憧れながら劇場でしか生きていけない自分に哀しむきっこ、恋よりも芝居を選ぶことに賭けた文彦の苦しみなど、様々な事件が起きていく。
借金を断れつづけすっかり意気消沈している片倉にある日、母親から30万都合してあげるという電話が入る。そればかりかさちこかが必要なお金を用意してくれると言うのである。驚喜する片倉はさっそく緊急ミーティングを行い、明日からでも稽古を開始したいと言う。だが、皆んなの歓声をさえぎるように、実は連続ドラマの準主役に決まって、今度の公演には出れないと真也が立ちあがる。そして・・。 |